投稿者:M.MK
オペラ座の主役(前)
いよいよ観劇シーズンもたけなわ。パリのオペラ座で観劇、などというとタキシードでも着ていかなないといけないのか、とも思ったが(そういったご質問も多いですが)、そんなこともなく、まぁ普段より少し小奇麗な格好で行けば、特に何事もなく入ることができる。ちょっと拍子抜けだが、たしかに江戸時代当時、比較的金のある商人でないと行けなかったという高い料金だった歌舞伎を21世紀の今日、我々が観劇するのに、別に必ずしも江戸の若旦那風情で行く必要もないのと同じことらしい(?)。
というのも昔の小説、例えば『椿姫』(オペラでもお馴染み)を読んでみると、椿姫と呼ばれる女性が観劇に使う席には毎回椿の花を送る人がいたり、またバルザックの小説では何頭立ての馬車で行くのかが、問題になったりしている。今で言えば、ジャガーやアストン・マーチンなどで無駄に馬力を見せつけながらオペラ座に乗りつけなければならない・・・ということなのだろうか?と思いを馳せ、はてどこでそんなものを調達したものかと、オペラ座の入り口を観察してみたが、入り口では、そんな華々しい光景はなく、地下鉄の出口から歩いてきたり、タクシーだったり、である。オペラ座に入って行く人も、比較的清潔な普段着、せいぜい(仕事帰りの)スーツくらいのもの。
要するにその昔は、客席と言えども今日のように暗転せずに、シャンデリアで照らされ、観客は舞台で役者たちが演ずる劇そのものを見るよりも、あちこち歩き回り、挨拶し、歓談し、派手な格好をして自分自身を見せびらかし、客席の人々が、どんな服を着てきたかとか、誰と来ていたとか、誰と話していた等々という、舞台よりも客席で進行しているドラマの方が重要性を帯び、好奇心をそそられていた、ということらしい。(続く)
December 12, 2010 12:12 PM カテゴリー:雑談




